研究概要 |
I マダコD-乳酸脱水素酵素(D-LDH)のcDNAクローニング 申請者等は軟体動物にはL-乳酸では無くてD-乳酸が中心になる奇妙な代謝経路を有し、又D-LDHが存在する事を発見した。そこでタコ足筋肉よりD-LDHを分離精製し、その部分アミノ酸配列を決定した。これらに基づきオリゴヌクレオチド類を合成し、RT-PCRにより518bpのcDNA断片を得、その塩基配列を決定した。翻訳されたアミノ酸配列はLDHよりも既報のglucerate dehydrogenaseに35%の相同性を示した。更に、このcDNA断片の塩基配列からプライマーを設計し、5′-及び3-RACE法によりcDNAクローニングを進めた。 II 担癌ラット尿中の1, 2-プロパンヂオールの定量法の確立 動物に於けるD-乳酸はメチルグリオキサール(MG)を経由して生成する。ほ乳動物でL-型の1/6はD-型であることを申請者は報告した。更に面白いことにパターイエロウであるMDAB誘発肝癌ラットの肝中にMGやD-乳酸がその前癌状態で著しく上昇する事、また、尿中の蟻酸の上昇が顕著であることを報告した。MGがカルボニール還元酵素により1, 2-プロパンジオールに成りこれがP450により解裂して蟻酸に成ることを発見した。前癌状態を診断する目的で尿中の1,2-プロパンジオールの定量法を長期間検討してきた。
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