研究課題/領域番号 |
08878104
|
研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
大隅 隆 姫路工業大学, 理学部, 教授 (50111787)
|
研究分担者 |
塚本 利朗 姫路工業大学, 理学部, 助手 (30236864)
|
キーワード | ペルオキシソーム / Green fluorescent protein / Blue fluorescent protein / GFP / BFP / オルガネラ生合成 / 蛍光顕微鏡 / PCR |
研究概要 |
細胞のオルガネラは、新たに作られたタンパク質が既存の構造体に輸送されることによって成長し、次いで分裂と分配の過程を経て形成、維持されると考えられている。しかしこれらの過程をin vivoで観察した例はない。本研究では発光クラゲ由来の蛍光性タンパク質Green fluorescent protein (GFP)とBlue fluorescent protein (BFP)とを用いて、ペルオキシソームの形成過程を生細胞中で追跡することを目指している。本年度は、この目的を達成するための準備として、技術面での改善と条件検討を行った。 1.従来使用されていたGFPやBFPは、動物細胞の培養温度である37℃では蛍光が弱いこと、さらにBFPではきわめて退色が早いことなどの重大な欠陥があり、当初の目的には使用できないことがわかった。そこで退色の遅いBFPを得ることを目標として、PCRによるランダム変異導入を行った。BFPcDNAを含むプラスミドをもつ大腸菌が、紫外照射により青色蛍光を発するのを指標にしてスクリーニングを行ったところ、蛍光強度を強めるのに有効な一個所のアミノ酸置換が検出された。この変異を、ごく最近、有効と報告された2個所のアミノ酸置換と組み合わせてGFPおよびBFPに導入したところ、従来型と比べてGFPでは約100倍、BFPでは約60倍の蛍光強度が得られた。これらの組み合わせ変異体は、従来型の至適温度である30℃よりも、むしろ37℃において強い蛍光を与え、また長時間の紫外照射後にも十分な蛍光強度を保っていた。これらの改良型GFPおよびBFPは、我々の当初の目的にはもちろん、生化学、細胞生物学分野において幅広い利用が期待できる。 2.これらの改良型GFPとBFPに、2種類のペルオキシソーム移行シグナル、またはペルオキシソームの内在性膜タンパク質PMP70の膜貫通ドメインを付加したものを細胞に発現させたところ、いずれもペルオキシソームに輸送されることが明らかになった。現在、生細胞で高解像度の観察を行う条件を検討中である。
|