造血幹細胞は増殖分化能は保持しているものの、その大部分はG_0期にある。現在最も支持されているストチャスティックモデルによれば造血幹細胞の運命は外部からの誘導に関わり無く造血幹細胞の自立的な選択にゆだねられているという。もしこの仮説が正しいのならば造血幹細胞の中にはその分化増殖能を休眠させるよう細胞因子が存在するはずである。本年度は1)500個のLy5.1c-Kit+Sca-1+Lin-細胞を致死量放射線照射したLy5.2マウスに移植後、経時的にマウスを殺し骨髄と脾臓における造血幹細胞の自己複製をin vivoで確認した。2)c-Kit+Sca-1+Lin-細胞よりRNAを抽出し、5′側にあるcap構造を利用して完全長のmRNAがPCRで増幅できる系を確立した。現在このようにして増幅したmRNAを用いて発現ベクターライブラリーを構築中である。このライブラリーが完成し次第、培養細胞にトランスフェクトしてスクリーニングを開始する予定である。
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