研究概要 |
TransformingRNAの発見 poly(A)tail付加RNA(GAUUUCCGUGGAGAGGAACAACUCUGAGU)はRNA polymerase II依存性発現により正常ラット繊維芽細胞を高頻度に形質転換する。活性はpolypurine GGAGAGGAA配列に依存した。形質転換細胞は継代により二次的形態変化,足場非依存性及び腫瘤形成能を獲得した。またこのRNAはin vivoで細胞外基質蛋白fibronectin合成を翻訳レベルで抑制した。RNA pol II-dependentnon-coding transcriptがtransforming agentになることが明らかとなった。 TransformingRNA(TR)の分泌蛋白合成への関与 TRの蛋白合成に与える影響をin vitro reticulocyte lysate systemで検討した。分泌蛋白としてpreβ-lactamase,非分泌蛋白としてluciferaseをモデルとして用いた。TRはpSP64(polyA)に挿入したcDNAからSP6 RNA polymeraseを用いて作成した。上記両蛋白合成系にcap及びpoly(A)tail構造をもつTRを加えるとpreβ-lactamase合成の抑制が認められた。更にoligo(GGAGAGGAA)を用いて追試した。oligoによりpreβ-lactamase合成抑制が認められた。3S-9ntは分泌シグナルを有する蛋白合成の初期化に影響を与えないが伸長を阻害した。0ligoはリボゾーム内の28S rRNAとantisense oligo(TTCCTCTCC)はシグナル認識粒子(SRP)内の7SL RNAと相補的に結合できることから分泌蛋白合成における両RNAの生理的協調作用をGGAGAGGAAが障害していると考えられた。この成績を基にヒト細胞からTR候補転写物の検出を行い正常ヒト細胞の不死化能について検討を行っている。
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