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1996 年度 実績報告書

ボルボックスを用いた多細胞体制構築機構の分子遺伝学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08878135
研究機関京都大学

研究代表者

白石 英秋  京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (90202118)

研究分担者 井上 丹  京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40114855)
キーワードボルボックス / 多細胞生物 / 体細胞 / 生殖細胞 / 突然変異体 / プロテイン・キナーゼ
研究概要

テキサス大学の藻類系保存施設から、ボルボックスの標準株であるVolvox carteri f.nagariensisの雌雄株を送付してもらい、また、東大の野崎久義博士から川崎で分離されたVolvox carteri f.kawasakiensisの雌雄株を分与していただいて、研究を開始した。
この生物種を分子遺伝学的な研究に用いるためには、酵素処理しうるDNAやRNAの標品を得られることが必須である。ボルボックスは細胞株マトリックスとして多糖類を大量に含んでおり、これが制限酵素の反応を阻害するが、機械的に個体を破砕したあと、差次的遠心分離によって細胞外マトリックスを除去し、続いてCsClの密度勾配遠心をおこなうことによって、制限酵素で切断可能なDNAを単離できることができた。RNAは、キレーターの一種であるdiethyldithio-carbamic acidで細胞外マトリックスを可溶化することによって、比較的容易に単離できることがわかった。精製したDNAとRNAを用いてゲノムライブラリー、および、cDNAライブラリーを作成した。試みにプロテイン・キナーゼのcDNAのクローニングを行ったところ、6種類のSer/Thrプロテイン・キナーゼのcDNAを分離することができた。これらの結果から、この生物種に比較的容易に分子生物学的手法が適用できることがわかった。
ボルボックスは、体細胞と生殖細胞が分化した多細胞生物の中で、最も下等な生物である。この生物では、生殖細胞が個体の内部で胚発生を行って娘個体が形成され、娘個体が成熟するとともに、親の体細胞はプログラムされた細胞死を迎えて、娘個体が外部に放出される。野生型株の培養の過程で、通常なら体細胞が細胞死を起こす段階で体細胞が細胞分裂を始め、すべての体細胞が次の世代の個体となるような自発突然変異体が2株分離された。これらの突然変異株は、体細胞が生殖細胞に変わってしまった、いわゆるホメオティック突然変異体の一種であると考えられる興味深い突然変異体であるため、今後解析をすすめる予定である。

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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