研究概要 |
海産熱帯魚(タテジマキンチャクダイ)の縞模様に着目し、その模様が皮膚に固定しているのでなく、成長とともに連続的に変化すること、及び波としての性質を持つことを証明している。(Nature 1995 Kondo and Asai,Nature 1996 Kondo and Asai)我々は既にタテジマキンチャクダイ以外の魚類、両生類、は虫類についても、同様の体表模様の変化を観察しており、この反応が特別の種にのみ存在しているのではなく、一般性を持つことを証明している(投稿準備中)。今後は、分子生物学的な解析を行うにあたり、良い実験系を手に入れることが不可欠である。最近実験系として非常によい種を2つ発見し、問題が解消された。 1、南米産ナマズ(プレコストムス) 種としては1種であるが、非常にバラエティのある模様の亜種が無数と言って良いほどある。我々は既に模様の異なる2つの亜種について、タテジマキンチャクダイと同様に、成長に伴う模様の変化が計算と一致することを確認した。このナマズは、丈夫であり、安価で手に入り、支配も可能である。従って、波に関する細胞学的、解剖学的な解析を行うことが可能である。 2、ゼブラフィッシュ 成魚の模様は固定してしまっており、波としての動的な変化を追うことは出来ないが、模様の異なるミュータントが多数分離されており、それらの変異はチューリングの理論から予測できることを確認している。従って、幼魚期の原パターンはタテジマキンチャクダイと同様のメカニズムで作られると考えられる。新しい実験系として研究が精力的に進められており、遺伝的、分子生物学的な解析を行うことが可能である。解析に重要と思われる変異株3種を入手済みであり、残りも今年中に入手予定である。
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