研究概要 |
遺伝子操作動物を用いて、c-fos, c-junなどの細胞性癌遺伝子の発現の過剰あるいは欠如が、ニューロンの生存に与える影響を検討し、これらの細胞性癌遺伝子がapoptosisの誘導にどのような役割を果たすかといことを明らかにするのが、本研究の目的である。今年度は主に、遺伝子操作動物の作製・継代とマウスのニューロンの培養とapoptosis誘導モデルの確立を行った。 c-fos knoc-kout mouseあるいはtransgenic mouseのヘテロの判別のために、slot blotを用いてgenomic DNA中のc-fos DNAの多寡を調べ,その差によって分別を行う方法を行っている.同法によって交配を決定して継代を行っているが,未だ不確実な面もあり,改善を試みている. ニューロンでのapoptosisの誘導を起こすモデルとして、以下の二種類の培養系を用いる.第一に,小脳顆粒細胞は高K^+下(25mM)で培養を行った後低カリウム(5mM)培地に変更すると細胞死(アポトーシス)が誘導されるとされているが,我々は、DDYマウスおよびC57/Bマウスの新生仔胎を用いた小脳顆粒細胞の培養のセットアップを終え,更に前述のカリウムの濃度変化による細胞死の再現にも成功している.また細胞培養のセットアップの過程で,海馬細胞の培養に用いられる無血清培地(Neurobasal+B27 supplement)が小脳顆粒細胞にも良好な生存をもたらすことを見い出した.細胞死のもう一つのモデルは上頚神経節細胞を用いたもので,無血清下で細胞死が生じることを利用して,c-fosの発現の多寡が細胞死に与える影響を解析しようと考えている.こちらの細胞培養も準備中である.
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