研究概要 |
1.生後3日目から12日目までラット新生時にNitroarginine (一酸化窒素合成酵素(NOS)の特異的阻害剤)を復腔内投与し、発生・形態形成中の小脳にどのような影響を与えるかを調べた。 (1)形態学的観察では、小脳外顆粒層にある顆粒神経芽細胞の分裂・分化・移動が抑制され、その結果内顆粒層の形成に著しい異常が生じていた。 (2)この時、小脳各層の凍結切片を切り出しその中におけるNOS活性を測定したところ無処理の対照群では発生が進むに連れて感想重量当りの活性の上昇が見られたが、処理ラットでは全くNOS活性が認められなかった。 2.NOSにはいくつかの分子種の存在が報告されており、小脳の各層においてどのタイプのNOSが発現し機能しているかを明かにしておく必要がある。 (1)小脳の各層を単離し、Micro Immunoblottingによって分子種を調べたところ、全ての層で神経細胞型のnNOS、および内皮細胞型eNOSの発現が見いだされた。 (2)神経細胞型nNOSに特異的な阻害剤をもちいて、nNOSおよびeNOSの小脳発生における役割分担について検討を加えている。 3.以上の結果を踏まえて、in vivoと分散神経培養との中間に位置する脳切片培養系(Organotypic culture, Slice culture)におけるNOSの動態を阻害剤投与と無処理群とで比較・検討している。
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