研究概要 |
早発性家族性アルツハイマー病の原因遺伝子としてS182(14q24.3),STM2(1q31.42),E5-1(1q31.42)がクローニングされ,同疾患の発症は両遺伝子内に頻発する変異に直接起因することが明らかになった。脳神経細胞において重要な役割を果たしていると考えられるS182/STM2/E51遺伝子産物(Presenilinタンパク質)の生化学的基本特性および生理機能の検索を試みた。Presenilin1および2について特異的な高抗原領域をコンピューター予測し、抗原ペプチドを合成し、4種の抗体を作製した。いずれの抗体もpresenilin抗原に特異的であり、抗体価も十分であった。神経芽腫細胞、神経膠芽腫細胞、神経星状細胞をはじめとする各種ヒト培養細胞について^<32>P/^<35>S-Metで培養標識した後、免疫沈降を行い発現を調べた。Presenilin1,2の細胞内発現はいずれの細胞においても非常に少なく、細胞内リン酸化も受けないことが明らかとなった。また、Presenilin抗体免疫沈降複合体に付随するプロテインキナーゼ活性は検出されなかった。極微量タンパク質presenilinの機能解析にあたり、DNA-トランスフェクッションによる真核細胞内発現系確立の必要性が生じ、presenilin cDNAの調製と真核細胞presenilin発現用ベクターの作製を行いつつある。
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