研究概要 |
最近、生体の組織液中に存在する一酸化窒素など比較的簡単な構造の分子が、生体にとって極めて重要であることが分かってきた。本研究の目的は、NO,O_2など生体内溶液中の元素を分析する新しい方法を開発するこである。そのために、質量分析法を応用して次のような特徴を持つ装置を開発する。:(a)極めて微量の検出が可能である(b)経時的測定が可能である(c)検体の量が極微量ですむ(d)同時にいろろな分子の検出が可能である。 本年度は測定装置の開発とテストに重点を置いた。本実験装置は、サンプリング部、質量分析部、検出部、データー処理部からなっている。科研費により、真空ポンプ(ファイファー製、TMU064)および質量分析計(バルザ-ス製、QHG064)を購入した。サンプリング部は、質量分析部の引圧を利用して溶液中のガス分子を薄膜を通して気化するものである。サンプリング部を通り抜けた気体状のサンプルは、電子衝撃によりイオン化されたのち質量分析計によって分析される。第一段階として、真空装置内の真空度が10-^7Pa以上の高真空になり、空気中のガス分析が十分の精度で測定できることを確かめた(分解能=1/100)。次に細いステンレスパイプにポリエチレンをコーティングしたサンプリングを製作し、水溶液中での分析を行った。その結果、酸素・窒素など水溶液中ガスの検出が可能であることが確認された。問題点としては、安定性がまだ十分でないこと、検出までの時間遅れがよそう以上にあることである。これらは、コーティングの厚さやパイプの直径等検出部の構造を改良することにより改善できる見込みである。
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