研究概要 |
本研究は、NO,O_2など生体内溶液中のガス分子を分析するための新しい方法を開発することを目的としている。今回、質量分析法を応用して次のような特長を持つ装置の製作を行った:(a)極めて微量の検出が可能である、(b)経時的測定が可能である、(c)同時にいろろな種類の分子の検出が可能である。 実験装置は、サンプリング部、質量分析部、検出部、データー処理部からなっている。今年度は、データ処理・表示部の改良およびサンプリング部の開発を行った。サンプリング部は、質量分析部の引圧により、溶液中のガス分子を薄膜を通して気化させるものである。サンプリング部を通り抜けた分子は質量分析計によって分析される。内径が5,3および1mmの細いステンレスパイプに薄膜を貼ったサンプリング部を製作し、その性能をテストした。大気中でのテストの結果、成分である酸素、窒素が十分な分解能で(1/100)検出されること、その強度比が4:1とほぼ分圧に等しく、時間的に安定して測定できることが確認された。さらに水溶液中での分析を行った。その結果、酸素・窒素・水素・2酸化炭素など水溶液中ガスを本装置で検出することができた。水溶液中のガス濃度を変化させると、分析装置からのシグナルもそれに応じて変化した。サンプリング部の径が大きいほど時間的に安定して測定ができる。パイプの径が小さくなるほど検出の時間遅れが大きく、10・40秒程度かかることが分かった。膜の材料を変えて(ポリエチレン、シリコーン、テフロン)測定したが、材質よりも膜厚に性能が大きく依存した。安定に計画するためには、サンプリング部の形状を改良し、極めて薄くかつ均一な膜の厚さを確保することが重要であることが判明し、今後の課題として残された。
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