培養細胞が産生する一酸化窒素(NO)をパラメータとして循環器系作用薬剤のスクリーニングを行なうシステムの構築を前提として、in situ NOセンサの開発を行なった。その結果、2種類の原理に基づくNOセンサの開発に成功した。 本研究で開発したNOセンサは、(1)熱処理したシトクロムCをNO選択物質として用いる電気化学NOセンサ、(2)NOに特異性の高いラジカルスカベンジャーをNO選択物質として用いる電気化学NOセンサ、の2種類である。 (1) のセンサでは、シトクロムCを熱処理することによりNO還元活性が得られることを見出し、これをセンサへと応用した。電極上に固定化した熱処理シトクロムCがNOの還元を触媒する過程でシトクロムCの鉄が酸化されるため、これを電気化学的に還元することにより、数μMのNOを測定できた。 (2) のセンサでは、NOに特異性の高いラジカルスカベンジャー(PTIO)が電気化学的に酸化還元できることを見出し、これをNOセンサへと応用した。電極上に固定化したPTIOはNOと反応することによりPTIO自身が還元される。これを電気化学的に酸化することにより数百nM〜100μの範囲でNOの測定が出来ることが明らかとなった。 本研究で開発した2種類のセンサはどちらも水溶液中でin situにNO測定が可能であったことから、非動物実験系での循環器系薬剤スクリーニングシステムの開発を行ない得る可能性が示唆された。
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