研究概要 |
高齢化社会が進行し,寝たきり老人が増加している.寝たきり老人を介護する場合に必要な事項は,主に(1)床ずれ防止,(2)衣服の着脱,(3)排泄,(4)清拭である.しかし,これらの介護を行うには,ベッド上での起き上がりや寝返り等の体位変換が必要である.この体位変換には非常に大きな力を要するため,介護者の負担が大きく,特に介護者が女性や老人の場合には十分な介護が困難である. 本研究では,介護者の負担をできるだけ少なくするために,ベッド面の形状を自由に変化させて介護目的に都合がいいように体位を自由に変換できる形状可変ベッドを開発・試作した. まず,現場で実際に介護を行っている方々からの情報を基にして,介護の目的に応じた体位を得るためのベッド面の形状およびその形状にベッド面を変化させる機構を検討した. ベッド面を患者の肩部,腰部,臀部,脚部の4つの部所に分割し,さらにそれぞれをいくつかの要素に分割して(合計12要素),これらの要素が患者の身体に沿って独立に上下する機構を有するベッドを試作した.この要素の上下機構には,空気圧式のシリンダーと電磁弁を使用した.これらの要素の上下移動は今回購入したパソコンで制御し,キイボード入力によって自由に操作できる. ベッド面を分割して上下させることにより,起き上がり,寝返り,膝下を下げる,腰を浮かす等の体位変換が1台のベッドで可能となった.そして,このベッドの使用によって体位変換を伴う(1)床ずれ防止,(2)衣服の着脱,(3)排泄,(4)清拭の介護がより楽にスムーズに行えることがわかった. しかし,今回の試作ベッドは,ベッド面の分割数が少ないために患者の身体に完全に沿わない部分が存在する.今後,分割数を多くするなどの改良を加え,患者に優しくフィットする形状可変ベッドを開発する計画である.
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