研究概要 |
人工股関節の骨頭臼蓋間の荷重伝達における衝撃吸収性能を調査するために以下のとおり研究を進めた. 弾性流体潤滑理論に基づくプログラムにおいて骨頭,臼蓋間の相対変位と関節液に発生する圧力の関係を定式化する過程で用いた骨頭,臼蓋間の相対変位と関節液流量の関係式を弾性変形を考慮したすき間の相対変位を用いて表すこととした.この結果,現象を忠実に表現する基礎をきずいた.しかし,この修正によりプログラム自体が計算途中で停止することとなり,現在その点の解決に努めている.なお,この基礎式の変更に伴い関節液の厚さと関節液に生じる圧力双方とも若干ではあるが増加し改善されている.この接触前の解析の後,接触圧と接触部以外のすき間に介在している関節液の流体圧による荷重支持プロセスを明らかにする. また,実験に関しては生体股関節の骨折が800Nから4000N程度で生ずるとする文献から,これを超える荷重は他部位に与える影響が大きいと考え,4000N程度の荷重を印可し得るものとした.実験条件から,落下高さ20cmまでの落錘式の衝撃試験機を製作し,データ整理の手法を除き測定系もほぼ構築できた. 試験機において骨頭モデルは両端をリニアガイドで拘束された梁に固定し支持することとした.性能試験の一つとして落下高さと印可荷重の関係を調査した.また若干の基礎実験を行った結果,関節液の存在によって,印可される骨頭側の荷重で90%,伝達した臼蓋側の荷重で50%まで減じており関節液の効果を確認した.
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