研究課題/領域番号 |
08CE2005
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研究種目 |
特別推進研究(COE)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
新海 征治 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20038045)
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研究分担者 |
筒井 哲夫 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (40037982)
梶山 千里 九州大学, 総長 (60037976)
成田 吉徳 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 教授 (00108979)
古賀 登 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (60161890)
大川 尚士 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00037219)
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研究期間 (年度) |
1996 – 2002
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キーワード | 高スピン分子 / 錯体分子磁性体 / 有機ゼオライト / 含窒素多架橋カゴ型化合物 / 分子配列 / 合成二分子膜 / 分子認識素子 / 多核金属錯体 |
研究概要 |
一次元デザイングループ(新海、君塚)では、COE研究テーマとして(1)金属-配位子相互作用、ボロン酸-糖質相互作用あるいは両親媒性が導入された相補的水素結合分子対を利用することによって、水中、あるいは有機媒体中においてメゾスコピックレベル(10nm〜μmオーダー)の超分子組織体(メゾスコピック系超分子)の開発に成功してきた。またこの概念を低次元無機物質と有機分子集合体からなる超分子複合体の設計に展開し、(2)擬一次元金属錯体と合成脂質から成る新しいポリイオンコンプレックスを設計した。 二次元デザイングループ(梶山、筒井、高原)では、低欠陥・大面積の有機単分子膜の構築法の確立、走査フォース顕微鏡を用いた有機単分子膜の電場および機械的ナノ加工法の開発、高分子薄膜および厚膜表面の分子運動特性解析法の確立等、有機分子二次元組織体における分子集積・組織化の精密設計と評価法に関して顕著な研究成果をあげた。 三次元デザイングループ(古賀、岩村、大川、入江)の中で、古賀・岩村グループは有機分子の不対電子と磁性金属イオンを組み合わせたヘテロスピン系を用いて、顕著な成果を上げてきた。最終年度に入り、世界でも例のない剛体溶媒中での強磁性体の発現及び単分子磁石の生成の予備観測に成功した。大川は、これまでに錯体化学の手法による集積化を行い、2種類の金属イオンを交互配列させた三次元分子磁性体の構築に成功し、構造が明らかにされた分子磁性体では最高の磁気相転移温度(71K)を実現した。入江はフォトクロミック分子集積体を記録媒体とする、共焦点光学顕微鏡を用いた3次元光メモリの構築を完成した。 総合デザイングループ(成田、青山、浜地)では高度な分子機能を実現するために、次元性を越えて合理的な分子設計に基づく機能分子合成を行い、その高度な分子変換、分離、分子認識機能の発現において顕著な成果を挙げてきた。成田は、マンガンポルフィリン配列体を用いた水の酸化による酸素発生は、未知の光合成酸素発生錯体中のマンガンクラスターの反応予測に大きな影響を与えた。青山は、多孔質・不溶性で水でも分解しない固体触媒を得る簡単な方法を見い出した。回収が容易で再利用可能な固体触媒を水中で使い、生成物以外の廃棄物を何も残さない、省資源・省エネルギー・環境保全(グリーン)型の革新的な物質変換法の開拓に向けた展望が大いに広がるものと期待される。浜地は、半合成タンパク質を有機合成技術で修飾することにより、タンパク質に新規な機能を付与することに成功した。特に光合成の初期過程である電荷分離状態をmsecオーダーまで伸ばすことに成功した。 以上、七年間の研究期間に挙げた成果を基礎として、世界に類のない分子集積体の次元性を元にして、それぞれの特徴を生かして有機分子、金属錯体の集積の方法を開拓して、世界に類を見ない広範でかつ創造的な成果を挙げた。
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