研究概要 |
1,7-エンイン類をロジウム(II)触媒存在下、反応させると骨格再配列反応が進行し、対応する1-ビニルシクロヘキセンが良好な収率で生成した。アセチレン末端にフェニル基、内部オレフィン炭素にメチル基を有する1,7-エンインを基質に用いるとアセチレン結合とオレフィン結合の両方が切断したtype IIの生成物のみが選択的に生成した。既に報告している1,6-エンイン類の骨格再配列反応の生成物分布はエンインの鎖の構造に大きく影響されるが、これとは異なり、1,7-エンイン類ではマロン酸由来のものでもtype IIが選択的に生成することがわかった。これは、環の大きさのため7-endo環化がおこらず、6-exo環化が選択的に進行するためである。また、1,6-エンイン類の場合と同様にシスーオレフィンのみが生成する。 また、エンイン類の骨格再配列反応における反応中間体の発生および、その捕捉を検討した。その結果、N-aziridinyl cyclopropyliminesを量論量の酢酸ロジウム(II)錯体と反応させると、予想通り1-ビニルシクロペンテンが生成した。この結果は、エンイン類の骨格再配列反応の中間体がシクロプロピルロジウムカルペン錯体であることを示している。さらに、tetradeca-1,13-diene-6,8-diyneを基質に用いると、初期中間体として予想されるロジウムカルベン錯体が1,3-メクロトロピーを経由した新たなロジウムカルベン錯体となり、それがシクロプロパン化しか生成物も良好な収率で得られた。この結果は、ロジウムカルベン中間体の介在を示唆している。
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