研究概要 |
1.既報に従い,磁性ナノ粒子(Fe_3O_4)は鉄塩の混合からの共沈法により調整した。透過型電子顕微鏡の観測結果から,磁性ナノ粒子の平均粒径は約12nmの均一な粒子であることが確認された。また,磁性ナノ粒子水分散液はpH=7-9のときが最も安定であるが,時間の経過で集合体を形成または沈殿してくるかどうかは明らかではない。重合条件下での磁性ナノ粒子水分散液のクレーの水分散液に対する適合性は優れており,重合中は沈殿や集合体を形成しないことが確認された。 2.磁性ナノ粒子とポリマーのナノコンポジット(NC)ゲルは磁性ナノ粒子を導入する反応性モノマーを含んだ溶液中での重合下で調整した。それらは,M-Pゲルと呼ばれる。また,傾斜分布を含んだ磁性ナノ粒子とポリマーのNCゲルは,磁場存在下での重合により調整した。それらは,M-P-G NCゲルと呼ばれるものである。 3.N-C,N-C-P NCゲル内の磁性ナノ粒子分散液とクレー血小板は顕微鏡やTEMで詳細に分析した。その結果,磁性ナノ粒子はM-P,M-P-G NCゲル内で均一に分散していることが分かった。また,粒子の粒径分布は1μm以下であり,クレー血小板はM-Pゲル内で集合体を形成せずに分散が展開された。 4.M-P,M-P-G NCゲルの力学的特性に関しても詳細に研究を行った。その結果,M-P,M-P-G NCゲルは優れた力学的強度と高い伸び率を示した。 5.M-P,M-P-G NCゲルの両方とも磁気応答性を示した。また,磁場の方向や強度を調節することによって様々な形状に変形させることができることを確認した。 NCゲルには優れた磁気応答性が導入されており,その磁気応答性と優れた力学的特性から,ソフトマシン内などへの応用に非常に有効であると考えられる。今後ゲルの機械装置への応用が発展することが期待される。 今後は,M-P,M-P-G NCゲルを使った磁気応答性素子の作成や,ポリマー/磁性ナノ粒子のナノコンポジット粒子の調整を行う計画である。
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