研究課題/領域番号 |
08F08301
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村田 雄二郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授
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研究分担者 |
HUSIRE 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 国際秩序 / 内モンゴル / 民族統合 / 地域 / 民族国家 / ナショナリズムの「病理」 |
研究概要 |
平成22年度、研究代表者村田雄二郎は、研究の全体を総括し、中国、モンゴル、チベット地域をとりまく国際秩序と関わる諸史料を整理し、研究をおこなった。著書(野村浩一・近藤邦人・村田雄二郎他)『新編原典中国近代思想史』全5巻(東京大学出版会、2010年)を出版したほか、第3回日モ国際シンポジウム「モンゴルと日本の過去と現在-20世紀を中心に」に招待され、日本の研究者を代表して、基調報告をおこなった。同報告は、「地域」という視点から、「辺境」の民族統合をめぐる国際政治上の「紛争」を近代ナショナリズムの「病理」として再検討し、中華民族による国民統合の是非が国際的に問われている、その政治的、学問的根源を解き明かした。 外国人特別研究員HUSILEは、著書『中国共産党・国民党の対内モンゴル政策(1945-49年)-民族主義運動と国家建設との相克』(風響社、2011年2月)を出版した。同書は、現地調査によってえられた情報などに基づいて、20世紀前半の国際勢力の再編がモンゴル社会にどのような変化をもたらしたかに焦点をあて、1920年代の内モンゴル人ナショナリズムの形成、とりわけ第2次世界大戦後の、内モンゴルにおける民族運動とそれに対する中国国民党・共産党の政策決定のプロセス、及びソ連、モンゴル人民革命党の政策転換とその内実を考察するとともに、「内モンゴル」という地域がどのように形成されたか、「中国」というあたらしいタイプの多民族国家による非漢民族の統合がどのように実現したかを解明することをめざしたものであった。このほか、論文「明治時代における日本人の外モンゴル調査」をも発表した。
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