研究概要 |
第一に、今日、世界の鉄鋼業は激動の時代に突入している。他方、東アジア(日本、中国、韓国)鉄鋼業は発展、競争、共存の時代に入っている。従って、研究範囲を日中韓の3ヵ国に広げ、比較分析を進めた。得た研究成果によって、出筆した論文としては、(1)「市場経済移行期における中国鉄鋼業の分析:-近代化過程における幾つかの論争をめぐって-」(完成済み、2009年度中国経済学会全国大会で報告予定)。第二に、研究対象を鞍鋼1社から、宝山製鉄所、新日鉄、ポスコ等に広げて、日中韓の中核企業同士の比較研究を進めている。得た研究成果によって出筆した論文としては、(2)「市場経済移行期」における中国鉄鋼業の分析-鉄鋼産業の近代化と技術選択:日中米三ヵ国の比較分析」(2009年5月末完成予定)。(3)「市場経済移行期における中国鉄鋼業の分析:鞍鋼を例として-技術導入依存から自主開発志向へ-その経緯を中心に-」(完成済み)。第三に、Kornai(1980)、Dewatripont and Maskin(1995)等の先行研究に基づいて、移行期の国有大型企業のソフト予算制約の問題を理論的且つ実証的に検証を進めた。得た研究成果によって出筆した論文としては、(4)「鞍鋼における余剰人員の整理と削減-ソフト予算制約の解消の視点から」(2009年5月中旬完成予定、2009年度日本現代中国学会関西部会大会で報告予定)。第四に、組織と制度の経済学、移行経済学、計量経済学等の理論的枠組みに基づいて、コーポレート・ガバナンスの比較、企業の生産性と収益性の変化め比較、相対的な効率性の比較分析を進めた。得た研究成果によって出筆した論文としては、(5)「市場経済移行期における中国鉄鋼業の分析:鞍鋼を例として-国有企業改革の進展:リストラクチャリングの視点から-」(完成済み、京都大学『経済論叢』、山本裕美教授退官記念論文集に掲載予定)。第五に、Berliner(1952)、Jin,Qian,and Weingast(1999)の先行業績に基づいて、国有企業レベルとして初のラチェット効果の存在を実証的に検証する作業を進めている。得た研究成果によって出筆した論文としては、(6)「政府と企業の関係の視点からみた国有企業収入配分の変化-ラチェット効果の実証を中心に-」(2009年7月末完成予定)(上述の完成済みの論文は、2009年5月〜6月を目処に内外の学会誌、学術専門雑誌に投稿する予定である、完成予定の論文も、完成次第、順次投稿する予定である。)(日本学術振興会の御支援と京都大学経済学研究科のバックアップ、大西広教授の御指導に心より厚く御礼を申し上げたい)
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