研究課題/領域番号 |
08F08341
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田上 英一郎 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授
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研究分担者 |
SHAFI Mohammad Tareq 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 溶存有機物 / 有機地球化学 / 生物地球化学 / リゲニン / 物質循環 |
研究概要 |
湖沼や海洋に存在する有機物は、ぞこに住む水圏生物が作る有機物と、系外から流入する陸起源性有機物との混合物と言って良い。陸域・水圏環境を問わず、有機物の生産者は植物である。その植物とは、陸域環境では高等植物であり、水圏環境では植物プランクトンである。そして、陸上生態系での基礎生産者である高等植物の主要成分の一つがリグニンである。水圏生態系の基礎生産者である植物プランクトンはリグニンを合成しない。従って、河川・湖沼・海洋水中からリグニンフェノールが検出されれば、これは陸起源性有機物と考えて良い。水圏環境において、湖沼水中には、集水域から河川を通して有機物が負荷され、湖沼中で生産される有機物と相まって複雑な炭素循環の系を形成する。湖沼水は河川をとおして沿岸海洋へ負荷され、更に外洋域へと輸送される。陸起源性有機物の実体は、実は分かっていないが、大きく括れば、陸上植生の分解残渣や、それにより形成される土壌有機物の一部と考えられる。このような有機物は、既に分解過程を経ており、水圏環境では植物プランクトンが生産する有機物に比べて、安定して存在すると考えられる。陸起源性有機物は、海洋も含めた水圏有機物プールの維持過程に大きな役割を果たしている可能性があり、その実体解明が急務である。9月23日〜25日、三重大学所属勢水丸の航海において、伊勢湾奥から伊勢湾口外部大王崎にいたる測線で、一般海洋観測を行い、淡水-海水混合状態や生物現存量、等を把握すると同時に懸濁態及び溶存態有機物試料を連続的に採集した。得られた試料については、分子量分画を行い溶存有機物濃縮試料を得た。
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