研究課題
可逆コンピューティングと細胞膜計算システム(Pシステム)はいずれも自然計算(Natural computing)の一分野である。本年度はそれぞれについての研究を行うとともに、それらの融合を試み、以下の結果を得た。1.可逆チューリング機械、可逆論理素子の計算万能性計算万能性を有するできるだけ単純な可逆計算システムを見出すという視点から研究を行った。まず万能可逆チューリング機械については、これまでに15状態6記号と17状態5記号のものを得ているが、本年度は、4記号の場合に状態数を24まで減らせることを示した。また、2状態3記号可逆論理素子の万能性についても研究した。この種の素子で縮退していないものは14種類あるが、それらが全て非同期モードで計算万能性を有することを統一的かつ簡潔な方法で示した。2.細胞膜計算システムの拡張と可逆性の導入細胞膜計算システム(Pシステム)は細胞膜内での物質の化学反応や、細胞膜を通しての物質の移動を数学的にモデル化したものである。本年度はこのシステムによって、(a)セルオートマトンの一斉射撃問題に相当する同期問題に対するアルゴリズムが存在すること、(b)PP完全問題と#P完全問題が解けること、(c)辞書に相当するようなシステムが構成できることを示した。また、Pシステムに対して強可逆性と弱可逆性を導入し、ある種の弱可逆Pシステムによって可逆2カウンタ機械がシミュレートできるという結果を与えた。さらに、Pシステムのバリエーションと考えられるある種のプロセッサ・ネットワークの万能性も示した。
すべて 2009 その他
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Proc. Int. Conf. on Agents and Artificial Intelligence, Porto
ページ: 613-618
Lecture Notes in Computer Science, 5391, Springer-Verlag
ページ: 118-128
ページ: 108-117
http://www.geocities.com/aartiom/pub_aa.html