研究課題
可逆コンピューティングと細胞膜計算システム(Pシステム)はいずれも自然計算(Natural computing)の一分野である。昨年度に続き、それぞれについての研究を行うとともに、それらの融合、特に可逆的細胞膜計算システムの定式化を行い、以下の結果を得た。1.可逆論理素子の計算万能性記憶を有する計算万能な可逆論理素子として従来、ロータリー素子が知られていたが、これよりも単純な素子である2状態3記号可逆論理素子の万能性について研究した。この種の素子で縮退していない14種類が全て非同期モード上および同期モードで計算万能性を有することを証明した。これは、2状態で3以上の記号をもつあらゆる非縮退の可逆論理素子が万能であるという結果につなぐことができる。2.細胞膜計算システムの拡張と決定性・可逆性の導入細胞膜計算システム(Pシステム)は細胞膜内での物質の化学反応や、細胞膜を通しての物質の移動を数学的にモデル化したものである。まず、昨年度までの研究を発展させて次の結果を得た。(a)Pシステムにおける計算の停止性に対する新しい定義を与え、その有用性を示した。(b)自然言語における語形変化の現象をPシステムでモデル化できることを示した。(c)ある種のPシステムの形式言語生成能力を研究し、また単純なPシステムの計算万能性を準いた。次に、Pシステムに対して可逆性と決定性の概念を導入し、ある条件下では、可逆的なPシステムでも計算万能性を持つという結果を与えた。
すべて 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
International Journal of Computers, Communications and Control 3
ページ: 206-213
Proceedings in Information and Communications Technology, Springer-Verlag PICT 2
ページ: 252-259
Fundamenta Informaticae 91
ページ: 17-34
http://aartiom.50webs.com/pub_aa.html