研究課題
従来の病理診断、細胞培養、あるいは血液検査などは、結果を得るまでに2日から2週間を要するため、治療や感染症の診断に実用的ではない。ナノ加工/マイクロフロー化を取り入れることで電気化学検出デバイスが、オンサイトモニタリングに向けた低コスト化、低消費電力化、ポータブルセンサー化の実現に近づくと考えている。本研究では、RNA/DNA分子のハイスループット検出を目指し、DNA増幅部位や電気化学分析部位などの機能を一枚のチップ上に集積が可能なデバイスの設計と作製を検討した。具体的には、Loop-Mediated Isothermal Amplification法を用いて目的DNAを増幅し、電気化学活性を有するHoechst 33258を結合させ、印刷型電極チップを用いてCBH351トウモロコシの定量測定に成功した。また、Bacillus subtilis168モデルを用いて、初期濃度1000ゲノムコピーからの16S rDNAの電気化学検出にも成功した。さらに、ソフトリソグラフィー技術により、PDMS/ガラス製のマイクロ流路チップの設計・作製を行い、これを用いてわずか7分でのオンチップPCR増幅にも成功した。また、回収した増幅産物の電気化学計測による検出も可能であった。これを応用し、バイオテロの生物剤の懸念のある炭疽菌遺伝子の迅速検知も可能であった。これらの結果より、病理診断、食品検査、GMO検査、バイオテロ防御などへのオンサイト迅速検出への応用の可能性を見出すことができ、広範な分野への貢献が期待できる。
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Food Control 21
ページ: 599-605
Analyst 134
ページ: 966-972