研究課題/領域番号 |
08F08377
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
猿倉 信彦 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 教授
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研究分担者 |
ELMER Estacio Surat 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 外国人特別研究員
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キーワード | THzエミッタ / GaAs on Si / 非線形光学結晶(KTP) / 差周波発生(DFG) / 疑似位相整合 |
研究概要 |
本年度の研究は主に (1)THzシードパルスソースとしての強力な半導体表面THzエミッタの開発 (2)新しい非線形光学材料(KTiOPO4(KTP))を使った新たな差周波発生(DFG)THz源の開発の二点について行った。 (1)については、THzシードパルスソースとして、以前に報告したQD構造に加えて、MBE法で成長させたGaAs on Siから強力なTHz電磁波を発生させることに成功した。その出力は今までで最も大きい出力が得られたp型InAsに匹敵するほどであった。また、GaAs on Siが反射と透過の両方でTHz放射を発することができるという点は、それがTHz放射エミッタとして大変有効であることを示している。その理由として、第1に光学調整(アラインメント)が容易になるということと、第2にこれらが固有の光学的非線形性を持つことから、THz増幅メディアとして将来注目を集める可能性が高いということだ。また、我々は最初の成果をUltrafast Phenomena Conference 2010で発表した。 (2)については、周期性を持つKTP結晶は、和周波発生を示すことが最近明らかになった。このKTP結晶を用いて新しい疑似位相整合技術を使用したTHz DFGソース開発に向けて、現在他の研究グループと共同研究を行っている。KTP結晶のTHz屈折率とTHz透過率を他の研究グループに測定してもらい、その値を用いてシミュレーションを行った結果、大変良いデータが得られた。以前にレポートされた、ニオブ酸リチウムにおける疑似位相整合DFGと比較すると、今回の我々の計算は、KTP結晶をほとんど回転させることなく、また精密な回転台を用いることなく比較的ブロードバンドなTHz波を発生させることができ、それは真のブロードバンドTHz放射線放出に応用できる可能性を示唆している。シミュレーション結果は16th International Conference on Crystal Growth(ICCG-16)への提出を前に、現在さらなる分析を行っている。
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