本研究では、150℃の低温、かつ大気中ないしは不活性ガス雰囲気中での金属薄膜を介したウエハ接合の可能性を検証し、具体的な例について、プロセス条件の確立することを目的としている。具体的な研究は、これらの金属の酸化過程の詳細な解析および実験的な比較検証から構成する。さらに具体的には、XPS分光分析による酸化過程の評価、およびこれらの薄膜を用いた4インチSiウエハの接合実験を行う。以上の結果から、ウエハスケールの3D集積化プロセスの基盤技術を確立することを目指すものとする。 本年度は、ウエハの接合にあたり、応力の分布に応じた接触を確保するための金属薄膜のパターニングを検討した。これにより、周辺部の不均一な応力分布が緩和され、一様な接合が可能になる可能性が示された。そのためのシミュレーションをFEM解析によって行い、金属薄膜の厚さの影響、微細バンプパターンの影響を定量的に検証した。実験はAuの薄膜を対象として行い、めっきバンプ、およびスパッタ膜のエッチングパターンの2種について行い、接合実験については、前年度の知見による最適な接合条件で検証を行った。また、この際の塑性変形の影響をあわせて解析した。これらの実験を通じて、ウエハの金属薄膜を介した接合のプロセス条件を確定し、低温接合や大気圧条件下での接合の可能性の検討を始めている。
|