研究概要 |
調査対象とした滝沢ダム上下流の溶存有機態濃度は低く,腐食物質の解析から人為負荷の少ない河川であることを検証した.その中で,窒素およびリンの栄養塩濃度がほぼ同じであるものの,相対的に溶存有機態濃度および無機イオン濃度の異なる個所において,付着藻類の出現状況を簡易に調べた結果,溶存有機態濃度の高いほうが多量に発生した.調査は一度の現地データのみから導かれたものであり,実験室レベルでの検証も含めて繰り返し調査を実施することが不可欠であるものの,腐食物質の特性に着目すれば,本結果は付着藻類の生長に関して他の要因と比較して影響の度合いは小さいかもしれないが,間接的に関与していることを示唆するものである. 調査対象としたダムは今後も有機物の質的変換が持続し,今後予測される紫外線量の増加によって難分解性溶存有機態の生態学的役割は大きくなるかも知れない.こうした部分についても長期的なモニタリングが行われるべきである.
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