インドネシア産樹木のArtocarpus heterophyllusの材部には、イソプレニル化フラボノイドが多く含まれる。これらのイソプレニル化フラボノイドのメラニン生成抑制効果を検討した。その結果、細胞毒性を示さない低濃度において、選択的にメラニン生成を抑制することを見出した。さらに、同時に、高濃度域(50μM以上)では、強力な細胞毒性を示すことも見出した。さらに、一連のイソプレニル化フラボノイド類を用いて構造活性相関を検討したところ、その活性は、イソプレニル基の置換位置というよりも、むしろ、その数に依存していることが示された。このことは、受容体-リガンドのような特異的な結合による活性発現というよりも、むしろ、非特異的な生体との相互作用により、薬理活性が発現していることが予想された。また、その構造的特徴を考えると、細胞膜との相互作用だと考えられた。溶血活性が観察され、比較として用いた、イソプレニル側鎖を有さないフラボノイドは、そのような溶血活性は観察されなかったことから、イソプレニル側鎖が存在することによって、界面活性作用が発現し、細胞膜を破壊するものと思われた。メラノーマ細胞に添加した際は、極低濃度において、選択的にメラニン生成抑制効果を示したが、この挙動に関しては、細胞膜流動性を変化させることによる活性発現機構が関与しているのではないだろうか。次年度は、さらに、メカニズム解析を進めると共に、スクリーニングを継続し、さらに、メラニン生成抑制効果を有する天然資源の探索も行う。
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