研究概要 |
熱帯域では降雨強度の高い降雨が頻発し、森林伐採や農地開発などの面的な開発が流域での物質動態に顕著な影響を与える。その中でも、インドネシア国の最長河川であるジャワ島のベンガワン・ソロ川の流域では、流域面積の30%にあたる11,023haの森林が主に農地開発のため失われ、河川周辺の97,216haの土地では宅地開発が進んでおり、ベンガワン・ソロ川流域における水環境および周辺環境の急激な悪化が大きな問題となっている。併せて森林の農地開発が進行するにつれて、周辺の農地からの土壌粒子や肥料成分が表面流や浸透流でベンガワン・ソロ川に流出しており、流域における水環境の悪化、特に富栄養化が顕在化してきている。降雨に伴う有機物を多く含む作土の流出は、生産基盤における土地資源の損失のみならず、これらが蓄積する水域では富栄養化などの水質汚濁を引き起こしている。 そこで本研究では、ジャワ島のベンガワン・ソロ川流域を対象として環境劣化の現状を定量的に把握するとともに、適切な保全対策について検討することを目的とする。 平成20年度の研究期間は、平成20年11月から平成21年度3月までの5ヵ月間であった。 そこで初年度に当たる平成20年度には、ベンガワン・ソロ川流域の現地調査を実施して、現地関係機関より地図情報を収集するとともに、流域内の堆積土量や栄養成分濃度に基づいた環境評価を進めた。併せて、ベンガワン・ソロ川流域の環境劣化分類図の作成を目指して、地図情報の解析に必唇なコンピュータや解析ソフトを整えた。
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