研究概要 |
鳥類では卵管の精子貯蔵細管という特異構造の中で精子が数週間生存できるという特性がある。この精子の卵管内生存機構を明らかにできれば,鳥類の生産,ヒトやその他の哺乳動物における不妊等の生殖障害の解決に寄与できる。鳥類の生殖器免疫は宿主防衛に必須であるが,精子の生存に障害をもたらす可能性がある。トランスフォーミング成長因子β(TGF)は免疫応答を抑制するサイトカインで,卵管内での精子に対する免疫応答を抑制している可能性がある。この研究は,鳥類の卵管における精子の長期生存機構を解明することを目的とするものである。本年度は精子貯蔵細管の上皮細胞を培養し,これに精子を添加するとTGFの発現が増加する可能性を検討している。現在,精子貯蔵細管上皮細胞を含む卵管(子宮膣移行部)上皮細胞の培養系を立ち上げた。これに精子を添加または非添加してRNAを採取し,RT-PCT法でTGFの発現解析を試みて,この解析が可能であることも確認できた。今後,この発現に及ぼす精子の影響の解析を開始する条件を整えることができた。
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