研究概要 |
紫外線などによるDNA損傷修復に関わるXPCタンパク質は細胞内においてリン酸化による修飾を受けることか昨年度までの研究から示唆された。引き続きこれらのリン酸化がどのように制御され、XPCの機能に影響を与えるのかを明らかにするために研究を進めた。XPCタンパク質のN末端から883、884番セリン残基のリン酸化部位はカゼインキナーゼ2(CK2)の標的配列に一致することから、この部位がCK2によってリン酸化を受ける可能性が考えられた。このため、バキュロウイルスを用いて昆虫細胞内で過剰発現させた組換えXPCタンパク質を作製した。両セリンリン酸化部位を特異的に認識するp883/884抗体を用いてウェスタンブロットを行ったところ、組換えXPCタンパク質は既にリン酸化されていることが明らかとなった。そこに大腸菌を用いて作製したCK2を添加して試験管内で反応させると、更にリン酸化を受けSDS-PAGEでより移動度の遅い高リン酸化バンドが見られるようになった。昆虫細胞が内在性のCK2をもつことを考え合わせると、これらの結果はCK2がXPCタンパク質をリン酸化することを示していると考えられる。また細胞内でリン酸化の機能を解析するために、883,884セリン残基を非リン酸化アミノ酸(S883,884A)やリン酸化疑似アミノ酸(S883、884D)に置換した変異XPCを作製した。XPC欠損細胞を親株としてこれらの変異体を導入し、内在性XPCタンパク質と同様の発現レバルを持つ細胞株を樹立した。現在、それら変異細胞を用いて紫外線などのDNA損傷に対する修復や応答反応を調べることにより研究を進めている。
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