研究課題/領域番号 |
08F08468
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
松本 義久 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 准教授
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研究分担者 |
MUKESH Kumar Sharma 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 外国人特別研究員
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キーワード | DNA修復 / DNA-PK / XRCC4 / XLF(Cernunnos) / タンパク質リン酸化 / 放射線感受性 |
研究概要 |
本年度はDNA-PKによるXRCC4およびXLFのリン酸化の解析を行った。DNA-PKはDNA二重鎖切断のセンサーと考えられる分子であり、一方、XRCC4およびXLFはDNA ligase IVとともにDNA二重鎖切断の結合反応を司ると考えられている分子である。従って、DNA-PKによるXRCC4およびXLFの調節機構を明らかにすることは、DNA二重鎖切断修復の全体像を理解する上で極めて重要である。 具体的には、まず、我々が最近同定したリン酸化部位3ヵ所(XRCC4について1ヵ所、XLFについて2ヵ所)についてリン酸化状態特異的抗体を作成した。この抗体を用いたWestern Blotting実験によって、XRCC4のこの部位でのリン酸化が細胞内で実際に起こっており、それが放射線照射後に亢進することを実証した。このリン酸化部位は生物種間で高度に保存されており、DNA修復において重要な役割を担う可能性がある。リン酸化部位の生理的意義を探るために、このリン酸化部位に変異を加えたXRCC4を欠損細胞に導入し、安定発現株を樹立した。本年度は3年計画の1年目であるため、今後、この細胞の放射線感受性やDNA修復能などを検討することを計画している。また、このXRCC4の新規リン酸化部位および周辺の配列から、リン酸化を介して他の修復タンパク質との相互作用が調節されている可能性が強く示唆された。そこで、免疫共沈実験により、XRCC4と他の修復関連分子との相互作用の可能性を検討した。XLFの2ヵ所について、本年度行った諸検討の範囲では、リン酸化が検出されなかった。リン酸化が起こっていても、微量である可能性などが考えられた。
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