研究課題/領域番号 |
08F08601
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
フィリップス スティーブン 独立行政法人産業技術総合研究所, 脳神経情報研究部門, 主任研究員
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研究分担者 |
ARCHANA Singh 独立行政法人産業技術総合研究所, 脳神経情報研究部門, 外国人特別研究員
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キーワード | 脳波 / 位相同期性分析 / 同期性 / FDR / 多重比較 |
研究概要 |
脳イメージングデータのような多元的な解析には、Type IエラーやType IIエラーが増大するといった多重比較問題がある。たとえば、位相同期性分析による脳波の同期値は、時間と周波数帯域ごとに膨大な電極ペアが示され、多重な検定を行っている。 脳イメージング研究において、FDR(false discoveries rate)法は、ボンフェロニーなどのFWER(family-wise error rate)法よりも標準的な方法に採用されている。標準的なFDR法(FDR-BH、FDR-BY、FDR-BKY)では、複数の仮説検定がある場合、すべての帰無仮説を個々の検定としてとらえるのではなく集合としてとらえ、ファミリーに属すると定義する。そのため、下位階層の依存構造を説明することができない恐れがある。さらに、あまりに保守的な傾向があるため、本来差があるものにさえ有意差がみられないことがある。また、脳波同期値は、神経活動イベントが一様ではないうえに、時間や周波数帯域に依存している。したがって、標準的なFDR法を採用するのは、適切ではないといえる。 そこで、本研究ではより適切な統計技術を検討するために、複数のファミリーを定義するhFDR(Hierarchical False Discoveries Rate)法の新しいapplicationを開発し、その効果とシュミレーションデータの評価を行った。この方法は、位相同期性分析による同期値データを階層的なtreeで組織した後に、仮説検証を行う。その結果、FDRを増大させることなく有意差を検出することができた。一方、標準的なFDR法では、有意な結果を検出することはできなかった。これらの結果は、hFDR法が、脳波など多元的な脳イメージングデータの分析に対して効果的な手法であり、さらに既存の方法を上回ることを示唆している。なお、ODP(Optimal Discovery Procedure)法については、次年度に検討していく予定である。
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