研究課題/領域番号 |
08F08601
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
STEVEN Phillips 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員
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研究分担者 |
AECHANA Singh 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 外国人特別研究員
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キーワード | 位相同期性分析 / 同期性 / 脳波(EEG) / hierarchical False Discovery Rate / Optimal Discovery Procedure / 視覚探索 / 多重比較問題 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、脳イメージングデータに対して、よりふさわしい統計技術を開発することを目的とし、統計手法の開発を試みた。今年度は、脳イメージング研究の分野において適用されてきていないODP法(Optimal discovery rate method)を取り上げ、脳波の位相同期値によるシミュレーションを行った。 ODP法はfalse positivesを固定したうえで、true positivesの検出量が最大になるように設計された手法である。本研究では脳波同期値の検定統計量を推定するために、帰無仮説と対立仮説の確率密度が必要であった。シミュレーションを使ってODP法の特性や感度などを評価した結果、ODP法はFDRの各水準において検出の「見逃し」を最小にすることが明らかになった。また、検出量が非常に少ない(15%以下)場合を除いて、ODP法はhFDR法よりも高い検出力を持つことが示された。したがって、ODP法は従来の手法よりも脳波位相同期値に対してより有効な解析手法であることが示唆された。 以上のように、これまでは脳部位間の関連性があるかどうかのみを取り上げて検討してきたが、今後はその関連性のある脳部位間の因果関係について踏み込んでいくことが課題である。そこで、脳部位間の因果関係を推論するための統計手法であるGranger causalityという手法に着目した。しかしながら、予備研究を行った結果、現在のGranger causality法は脳波位相同期値に適用することができないことがわかった。したがって、今後の展望として、まず初めにこの手法を脳波位相同期値に適用できるように改良し、さらなる検討を行っていく予定である。
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