高い水素含有量を持ち、燃料電池用水素源として高い可能性を持つ水和ヒドラジンに注目し、水和ヒドラジンの触媒による選択的完全分解反応で、室温という温和な温度において、制御可能な条件下で水素ガスを発生させることができることを見出した。ロジウム(Rh)ナノ粒子触媒を用いた場合、放出された水素及び窒素ガス量に基づき、ヒドラジンの完全分解反応(H_2NNH_2→2N_2+H_2)の選択率を計算すると、Rhナノ粒子触媒の場合の放出ガスは1.5当量であることから、完全分解・水素生成選択率は43.8%である。ヒドラジンの部分分解・アンモニア生成反応(3H_2NNH_2→N_2+4NH_3)を含め全反応はH_2NNH_2→0.63N_2+0.88H_2+0.75NH_3となる。一方、ロジウムとニッケルの複合金属触媒を用いることにより、室温において水和ヒドラジンから選択的に水素を発生させることができることを見出した。ロジウムとニッケルの比を調整することにより、水素生成の選択率は100%に達する。水和ヒドラジンは、液体であるため移動型燃料タンクへの充填が容易であり、既存の液体燃料用供給・貯蔵インフラ設備が利用可能という大きなメリットを有する。さらに完全分解によって水素と窒素に分解するため、生成物回収・再生が不要である。
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