研究概要 |
アサリの生産に好適な餌料の評価を行うため,アサリの餌料選択性と摂餌能力に関する実験を行った。餌料の消化管外選択の機構を調べるために,アサリの殻に直径約3mmの穴を開けてオリンパス工業用内視鏡K17-09-00-62(外径1.7mm)を殻内に挿入することにより鰓と唇弁の様子を観察し,ビデオ機器に録画して解析した。各種の微細藻類や配合飼料をアサリに与えたところ,鰓では餌料粒子が捕集され粘液で紐状に固められて唇弁に運搬され,唇弁は活発に運動して餌料の塊を口に運ぶか,拒絶して擬糞を排出する選別機能を示した。擬糞の排出は,Pavlova lutheriが最少で,Chaetoceros neogracile,Nanochloropsis oculata,配合飼料の順で増加した。また,上述の各種餌料を用い,異なる餌料濃度における濾水速度の測定を行ったところ,40万細胞/mlでも摂餌は認められたが,擬糞の排出がほとんど無い1〜5万細胞/mlが至適濃度であった。さらに,4種の藻類P.lutheri,同福井株,C.neogracile,C.tennisimumを用いたアサリの飼育実験を実施した。アサリは小型群(殻長約6mm)および大型群(殻長約30mm)を底質を入れない飼育容器に収容し,水温15℃,塩分32〜34psuの濾過海水を掛け流し,1日に2〜4回給餌して飼育した。小型群では20日後から各種餌料間で殻長に大きな差が見られ,Pavalova福井株で最高の成長を示した。飼育実験は現在継続中で,実験終了後に成長,身入りの解析および一般成分等の分析を行う予定である。
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