| 研究概要 |
我々は、(R)-BINOLより得られるリン酸エステルがキラルブレンステッド酸として優れた不斉触媒能を有することを見出している。本触媒は数多くの研究者がその触媒活性を検討し、おもに、イミンに対する求核付加反応や付加環化反応などにおいて優れた不斉触媒能を示すことが明らかにされている。
Nazarov反応はシクロペンテン誘導体を合成する優れた合成反応の一つである。本研究では、Nazarov反応の不斉触媒化を目標とするが、まず、ブレンステッド触媒はNazarov反応に有効であることを明らかにするために、アキラルなブレンステッド酸を用いて反応を検討した。反応基質としては、ピロール骨格を含む不飽和カルボン酸エステルを用いた。この基質はルイス酸を用いた反応例はあるが、ブレンステッド酸触媒の反応例はいまだ報告されていない。TfOH,TFA等の触媒を検討したところ、HNTf2を用いると最も収率よく、Nazarov環化体が得られることを見出した。また、さらにマイクロ波照射条件下を反応を行うと、より短時間かつ良好な収率で環化体が得られることを明らかにした。本手法は、様々なピロール骨格を有する基質に適用可能であり、数多くの縮環ピロール類を収率よく合成することができた。」ここで得られた知見をもとに今後、Nazarov環化反応の不斉触媒化を目指して研究を進める予定である。
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