本研究では、共軸回転二重円筒間に生じるテイラー渦流を用いて、化学反応プロセスの"プロセス強化"を行うことを目的としている。モデル反応として、生体高分子の酵素加水分解反応を取り上げる。この反応系は原料の仕込み濃度が高いため、みかけ粘度が高く、通常の撹絆装置を用いた反応プロセスではもっとも取り扱いにくいものの一つである。この反応プロセスでは、局所混合が良く、さらに押し出し性の高い混合特性と、高い伝熱、物質移動特性を有する反応器が求められる。我々はテイラー渦流の輸送現象特性がこの反応プロセスの要求性能に非常に適合すると考え、生体高分子の酵素加水分解反応プロセス用のテイラー渦流装置を提案し、混合・伝熱・物質移動などの輸送現象特性を明らかにするとともに、実際に反応を行いその性能を検証することを目的とする。 平成20年度は以下のことを行った。 1)モデル反応としてデンプンの酵素加水分解反応を選定し、これに適合した酵素や触媒を決定した。 2)この生体高分子の酵素加水分解モデル反応に適したテイラー渦流反応装置による反応プロセスを提案し、現有装置の改良(ジャケットの取り付けなど)および、測定系の整備を行った。 3)数値シミュレーションを行うための計算コードを開発した。
|