コランダム構造をもつAl_2O_3(サファイア)の単結晶を用いて、ラマン分光分析によってラマンテンソールの測定を行った。その測定を利用して、Al_2O_3の単結晶体内の結晶方向分析する手段を提案した。その成果は論文発表し、雑誌の表紙を飾るほどの注目を浴びた。 応力測定の応用で破壊力学に古くから残っている課題として、ノッチ先端に拡大する応力の分析を新しいラマン分光の発想を用いて行い初めて実験的に応力マップを作成することに成功した。カソードルミネッセンスを用いて分光分析により得られる物質固有のスペクトルが応力や歪みに応じてシフトする現象、ピエゾスペクトロスコピック(PS)効果を応用し、応力・歪みの定量的評価の研究を行った。PS法は、結晶面の違いからそれぞれの異なる物理法則に従うが、発光スペクトルが起こる現象にかかわらず、応力、歪み情報を得ることのできる手段である。ラマンを用いる場合とは異なり電子を利用して発光する為、空間分解能はナノメートルスケールまで絞ることが可能となる。従って、ラマンで行ったノッチ先端で拡大する分析はより正確に行うことができた為、ナノスケールの応力マッピングの作成に成功した。 多結晶体の応力分析の研究成果としては、国際学会Euromatで発表した。
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