研究課題/領域番号 |
08F08769
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今堀 博 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 教授
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研究分担者 |
MATHEW Simon 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 外国人特別研究員
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キーワード | ペリレン / 色素増感太陽電池 / ドラッグデリバリー / 光線力学療法 / ナフタロシアニン |
研究概要 |
本年度研究の第一の目的は、光線力学療法にもなる薬物送達システムを創製することを目指して、ポルフィリン含有両親媒性高分子の自己集合体を合成することであった。また、このユニークな構造体の、色素増感太陽電池(DSSC)用光増感剤としての有効性を検討することも目的であった。様々な合成経路を鋭意検討した結果、上記の両親媒性高分子のみからなる自己集合体を作製できたが、この自己集合体が固有の構造新規性を有していたため、査読付き論文に掲載されるのに十分な構造解析を行うのが困難であった。そのため、本研究の主要な目的、すなわち太陽光エネルギー変換とドラッグデリバリーに取り組むため、新たに2つのプロジェクトを立ち上げた。 太陽光エネルギー変換のテーマに取り組むにあたって、一連の新規アミノ基導入ペリレンを合成し、DSSCに用いた。色素は光電流を発生し、3%近い効率を示した。現在、様々な過程での最適化を通して、本DSSCの効率を増加させる手段を追求している。そして査読付き国際誌で結果を報告する予定である。また、太陽光エネルギー変換のための新規ポルフィリン色素の合成についても注力しているところである。 ドラッグデリバリーのテーマを遂行するため、シリコンナフタロシアニン類縁体(光線力学療法のための有望な色素)を合成中である。これらの色素を、高比重リポタンパク質(HDL)に内包すれば、色素を腫瘍部位に送達することが可能になるであろう。HDLナノ粒子は天然に存在するアポリポ蛋白質(APOA-I)とリン脂質(POPC)から作製できる。最近、2つのAPOA-I変異体(ΔAPOA-IとΔAPOA-I-TAT)を取得した。今後数カ月で、これら2つのタンパク質を用いて対応するHDLナノ粒子を作製し、それらにシリコンナフタロシアニン類縁体を内包させる。そしてこれら複合体のそれぞれを、光線力学治療剤としてin vitro評価を行う予定である。現在、新規シリコンナフタロシアニンの合成に向けて研究を行っている。
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