本年度研究は、主に、昨年度構築した理論の数値シミュレーションによる検証を行った。その手順は以下である。まず、ホスト側を固定とし、クライアント側をモバイル環境とする。そのとき、アドホックネットワークを構築し、移動クライアント側のサブホストの選択を常に最適になるようにリアルタイムでの最適化を行う。その時、ネットワーク全体のフローの最適性を評価をするとともに、メッシュ点の探索を行うことにより移動点を決定する。なお、これらの、シミュレーションはネットワークシミュレータ(NS2)により遂行した。また、実環境での実験としては、2チャンネルの長距離無線経路を用いて、100Mbitの大容量データを分割し、符号化、圧縮を行った後、送信し受信側で再構成する際の遅延を最小化する手法や、ネットワークの状況に応じた送信レートの選択等を行った。以下に遂行した研究項目を記す。 1.ネットワークフロー制御理論の見直しと新たな知見を織り込んだ再構築 (1)ホストを固定環境、クライアント側を移動環境としたアドホックネットワークにおける最適なフロー制御 (2)メッシュネットワークにおけるセル内の最適な通信点の選択 (3)上記課題に対するネットワークシミュレータによる検証実験 2.長距離無線LANを用いたデータ分散・再構成における最適データ分割法の研究 (1)経路無線LAN(狭帯域、広帯域)を用いた大容量データ伝送手法の最適化に関する理論と実証試験の確立 (2)無線LANの状況(降雨時、ネットワーク負荷状況)に応じた最適フロー制御に関する理論と実証試験の確立
|