研究概要 |
本研究では、フィンランドのCSC (IT Center for Science, Espoo)に所属するThomas Zwinger博士、およびフランスのLGGE (Laboratory of Glaciology and Environmental Geophysics in Grenoble)に所属するOlivier Gagliardini博士との協力により、無償で公開されている有限要素法ソフトウェアElmerを利用してストークス方程式を解くElmer/Iceをグリーンランド氷床に適用している。今年度は、重要な氷流と氷河(Jakobshavn氷流、North-East Greenland氷流、Kangerdlugssuaq氷河、およびHelheim氷河)を含む地域の空間分解能を大きく向上し、新しい有限要素メッシュを構築した。この新しいメッシュは大きな計算能力を必要とするため、Open MPI (Open Source High Performance Message Passing Interface Library)に基づいた並列化技術の導入も同時におこなわれた。以上の改良を施した数値モデルを用いて、現在の気候下における、定常状態での流動速度および氷体温度を計算した。この計算結果は、地球温暖化によって急激に変化するグリーンランド氷床の将来をシミュレーションするための初期条件となるものである。また、SeaRISE community effort ("Sea-level Response to Ice Sheet Evolution" ; http://oceans11.lanl.gov/trac/CISM/wiki/AssessmentGroup, http://websrv.cs.umt.edu/isis/index.php/SeaRISE_Assessment)によって提案されている一般的な気候変動データに基づいて初期的なシミュレーションが実施された。
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