研究概要 |
研究実施計画に基づき、戦前から戦後にかけての日本とイタリアにおける、対外関係を軸に、自己(自国)イメージ、他者(他国)イメージ構築のダイナミズムをめぐって、文献収集とその分析を共同で行った。本年は、まず、ファシズム期における日本のイタリア関係図書の収集と分析を実施した。特に明治以後、日独伊3国同盟前後までめ日本社会におけるイタリア関係図書を参照しつつ、日本側のイタリアをめぐるイメージ形成のプロセスについて分析を加えた。特に、第二次大戦中の日本における反ムッソリーニ派の在日イタリア人の収容所についての伊藤の研究をもとに、戦前戦中期の日本人のイタリア人イメージの変容(同盟国人から同盟国/反同盟国人の同居状態におけるイメージ変化)について共同で分析を行った。また、伊藤、ミヤケがともにここ数年進めてきた、イタリアにおける日本のポピュラー文化(マンガ、アニメ、ゲーム等)受容について検討を加えることで、近年のイタリアにおける日本イメージの形成について、考察を進めた。 さらに、ミヤケが進めてきたオリェンタリズムと自己オリエンタリズムの交錯について、収集した資料等を活用しつつ、これまでミヤケが発表してきた論文を対象に再検討を行い、論文の修正点や改正点を洗い出した。その成果は、L'Occidente e l'Italia in Giappone. Occidentalismo,italianismo e autoorientalismo(日本における「西洋」と「イタリア」:オクシデンタリズム、オリエンタリズム、自己オリエンタリズム)と題して、2010年に刊行される予定の図書にまとめた。
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