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2009 年度 実績報告書

スウェーデンの地方分権化改革における教育実践の変容

研究課題

研究課題/領域番号 08J00476
研究機関東京大学

研究代表者

林 寛平  東京大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2) (10726376)

キーワードスウェーデン / 脱集権化 / 学校開発 / アイスランド / 教育改革 / 北欧
研究概要

本研究の目的は、教育の脱集権化が現場の教育にどう影響し、教師たちの教育実践をどのように変容させてきたのかを明らかにすることである。本年度は、博士論文の執筆に向けて脱集権化改革初期の資料を収集し、集権体制から脱集権化に向けた動きが生じた背景を検討した。
まず、2009年6月に行われた日本比較教育学会でラウンドテーブル「教育の『北欧モデル』の行方-学力問題に揺れる北欧諸国の教育政策」に参加し、スウェーデンの学力政策と分権体制に関するこれまでの研究のレビューを発表した。この中で、(1)脱集権化がグローバリゼーションとの関連で述べられる際、1990年代の現象として認識されているという誤り(2)日本においては、1960年代までの研究と1990年代以降の研究は盛んに行われてきたが、その間の研究がわずかにしか蓄積されていないこと(3)現在の教育改革を検討する上で、1970年代に起きた政権交代と政策の転換の理解が欠かせないことを指摘した。これを受けて研究の方向性を再吟味し、1970年代を始点(転換期)とした脱集権化改革の検討を始めることにした。
2009年8月21日から10月2日にかけて、スウェーデンのウプサラ大学教育学研究所とルンド大学図書館を訪れ、資料収集と調査を行った。ウプサラ大学ではウルフ・P・ルンドグレン教授のもとで1970年代から80年代にかけての政策文書と教員組合の機関誌などの資料を200点以上収集し、歴史的な流れについて整理した。ルンド大学図書館では、1980年代のフリーコミューン(特区自治体)実験期に行われた学校開発活動の報告書を入手した。この調査から、脱集権化改革のアジェンダ設定が1970年国会における野党の提議によってなされたことと、その背景に社会構造の転換と教員組合のロビー活動があったことが明らかになった。さらに、注目すべきアクターとして、国会に設置された学校内活動調査委員会(SIA委員会)が浮かんできた。SIA委員会の資料は図書館に所蔵されているものについてはすべて収集した。1970年代のSIA委員会に関する研究成果は論文にまとめ、現在投稿に向けて準備中である。
また、9月末にはアイスランドの就学前学級と小学校を訪れた。今回は最近できはじめている私立学校の動向について調査した。金融危機前後での教育政策の変容について現地の声を聞くことができ、非常に有意義であった。この成果は『比較教育学事典』に「アイスランドの教育」という項での執筆に反映されている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] スウェーデンにおける教師教育改革の動向2010

    • 著者名/発表者名
      林寛平
    • 雑誌名

      東京学芸大学教員養成カリキュラム開発研究センター『ヨーロッパにおける 1

      ページ: 56-63

  • [学会発表] スウェーデンの分権改革導入期におけるフリーコミューンの実験2009

    • 著者名/発表者名
      林寛平
    • 学会等名
      日本比較教育学会
    • 発表場所
      東京学芸大学
    • 年月日
      2009-06-28
  • [図書] 未来への学力と日本の教育10揺れる世界の学力マップ2009

    • 著者名/発表者名
      林寛平(佐藤学, ほか編著)
    • 総ページ数
      18
    • 出版者
      明石書店

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-05-23  

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