研究課題
マダガスカルには、オーストロネシア語族に属する約20のマダガスカル語の諸方言が話され、東海岸にはラテン文字導入以前のアラビア文字を保持する民族が存在する。また、アフリカからの奴隷の子孫がバンツー系言語を保持して生活を行っている、多様な国である。20世紀に入ってから、インドネシアの諸言語との比較研究が本格的に開始した。一方、マダガスカル語内の比較研究や、マダガスカル語の個別の方言の研究は未だ不十分と言える。Merina方言、Betsileo方言、Tanala方言など一部記述された方言があるのみで、多くは未記述か、国内の言語教育の問題などの実務面でも必要であるにもかかわらず、マダガスカル国内外における研究者の数は不十分であり、マダガスカル語方言学は21世紀に期待される課題と言える。本研究の目的は、マダガスカル語Antandroy方言の体系的記述を行うことである。マダガスカル南端部で話され、話者人口500000人をもつこの言語は、マダガスカル諸方言のなかでも、未記述の言語のひとつである。対象言語の音声・音韻・形態・統語分析を行うと同時に、話者の属する社会の観察、言語と人との関わり、口頭伝承の保存をおこなうことも課題としている。本年度は主に、数詞および数的概念の分析、語形成、動詞の焦点に関する母語話者を対象にした調査、音韻体系の分析を行い、これまで現地で収集したマレー語資料との比較を行った。将来的にインドネシアの諸言語との比較研究を行うための道筋として、2006年度から断続的に、インドネシア、マレーシアでの学術調査や発表を行っている。今後は、よりインドネシアでの調査を充実させ、オーストロネシア諸語の比較研究へと発展していきたい。
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Use of Numerals in Malagasy : Comparison between Antandroy and Merina Dialects 21
Revue japonaise de didactique du francais, Etudes francaises et francophone 4
ページ: 113-123