ガラスセル中での交差型光トラップの最適化を行った。その結果、ガラスセル中での蒸発冷却により174イッテルビウム原子のボース・アインシュタイン凝縮の観測に成功した。このボース凝縮体を一次元の光格子トラップに捕捉する実験を行った。その結果、十分な光格子ポテンシャルを凝縮体上に形成することに成功し、そのTOF画像に物質波干渉による干渉縞を観測することに成功した。原子数の高精度プローブの為に通常の吸収イメージング法に加え、磁気光学トラップからの蛍光観測による原子数プローブの系を作成した。原子数50個程度の精度で原子数を決定できる系ができた。今回の一次元光格子を用いた実験で必要な精度には十分であったのでひとまずの最適化はここまでとした。今回の提案で最も重要な光格子の各格子点を分離する実験に用いるISO状態から3P2状態へ遷移させる波長507nmの遷移の観測を行った。ガラスセル内の浮遊磁場によって174イッテルビウムの励起状態の全ての磁気副準位の分離、観測に成功した。光格子の各格子点を分離して観測する実験を行う為に、100G/cm以上の磁場勾配を作成可能なコイルを作成し、ガラスセルの付近に固定した。この磁場勾配コイルを用いて交差型光トラップ中の原子の507nmの遷移を用いた分光を行い、磁場勾配の影響で観測される吸収の線幅がドップラー広がりよりも大きくなることを確認した。励起状態に遷移した原子数を測定できるような系も作成した。この手法は信号のベースラインがゼロであるので、信号の絶対値を度外視して励起の有無に着目すれば非常に精度良くその有無を決定できることになる。この手法を交差型光トラップ中の原子相手にではあるが実際に行いその動作を確認した。
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