研究概要 |
(1)過去の実験およびシミュレーション結果から爆縮コアプラズマの電磁場(特に磁場)と密度を仮定し、この爆縮コアにレーザーと物質の相互作用によってできる高エネルギー電子を照射した際に,磁場によってどの程度曲げられるかを運動方程式から、また高密度物質中(固体と仮定)でどの程度散乱されるかをモンテカルロシミュレーションを用いて計算した。その結果、磁場の強度とスケールの積が非常に大きい場合は密度による散乱の影響を無視でき、磁場の影響だけを見ることができることがわかった。しかし、磁場が小さい場合はこの散乱の影響を無視することができない。そこで密度分布はX線等の別の粒子を用いて計測し、得られた密度分布を持つ物質中に電子を照射したときの散乱の影響をモンテカルロシミュレーションによって予想し、実験で得られた電子の分布と比較することで磁場の大きさを計測することを考えた。この内容を核融合エネルギー連合講演会で発表した。 (2)基礎実験としてレーザーと物質の相互作用で発生する高エネルギー電子の固体中での散乱実験を行った。高強度レーザーを50ミクロンの銅平板に照射し高エネルギー粒子を生成し、これを直径1ミリの鉄の球に照射し、その後方で散乱した電子の像をIPスタック(イメージングプレートとフィルターを交互に並べたもの)で計測した。実験で得られたIPスタック上での電子の分布はモンテカルロシミュレーションによってよく再現されており、レーザーと物質の相互作用によって発生する高エネルギー電子の散乱の予想にモンテカルロシミュレーションが有効であることがわかった。 (3)高強度レーザーを用いたレーザー航跡場加速による高エネルギー電子の発生、高エネルギー電子の検出器であるイメージングプレートの1GeV領域の電子に対する感度の較正についての論文を発表した。
|