新規Agナノ粒子ペーストの特性把握を行った。このペーストは従来のペーストと比較し、粒子に吸着している有機物を極力少なくしたものである。ペーストの大きな特徴は、溶剤の蒸発と共に焼結が起こり始め、またそれは粒子の粗大化や結晶粒の成長を伴うものであることが分かった。さらに、焼結したペーストは100nm程度の粒子がネック成長した多孔体になっていることを微細組織観察から確認した。また、このペーストは溶剤の蒸発を防ぐことによって保存することが可能であり、1ヵ月の保存後にも、溶剤の蒸発と共に焼結が起こることを確認した。このペーストを用いた接合に関して、Cu板を常温大気中で接合させることに成功した。研磨したCu板に新規ペーストを塗布し、1MPaの圧力を加えながら大気中に放置した。その結果、6時間以上放置した接合体で約8MPaのせん断強度があることが判明した。破断はAg焼結体内部から起きており、良好な接合が得られていると言える。また、接合強度は接合時間と共に増加し、これは常温焼結による粒子の粗大化、ネック成長に起因することを確認した。
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