研究課題
本研究は2006年にイギリスの科学雑誌Natureに掲載されたKepplerらの論文「好気的条件下における陸上植物からのメタン放出」(Nature 439)を受けて、日本の冷温帯林からの強力な温室効果ガスであるメタンの放出が、将来予想されている高CO_2環境において、どう変化するかについての知見を得ることを第一の目的としている。研究を始めるにあたって、植物のメタン放出に関する文献調査を行い、Kepplerらの発見以降における、研究動向を把握した。その後、将来予想されている高CO_2環境におけるメタン放出の変化に関する評価を行うために、高CO_2環境で育成したカラマツ、ウダイカンバおよびミズナラの葉におけるメタン放出を調査した。その結果、これら3樹種の葉からのメタン放出を確認し、特にカラマツのメタン放出量が他の2樹種より大きいことが明らかになった。また、ミズナラでは高CO_2処理によってメタン放出量が低下することも明らかになった。さらに,植物葉において最も重要な生理活性の1つである光合成活性とメタン放出の関係を調査するために、人工気象室による厳密な制御の元で、オノエヤナギに対するCO_2付加と土壌への窒素付加実験を行った。その結果、葉のメタン放出量はCO_2付加によって増加した。その原因として、高CO_2による、葉温増加と葉内の活性酸素の増加が考察された。上記の2実験から、将来の高CO_2環境で樹木からのメタン放出量は変化するが、その変化には樹種間差異があることが明らかになった。植物のメタン放出の評価と平行して、将来環境における森林のメタン収支を明らかにするために、森林土壌におけるメタン吸収能力の変化を調査した。その結果、高CO_2環境では土壌におけるメタン吸収能力が低下することが示唆された。これは将来環境において森林のメタンの吸収源としての役割が損なわれる可能性があることを示す結果である。
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