研究課題
今年度は5月下旬から米国・バージニア工科大学地球科学科において研究課題を遂行している。現地では、有機物と無機鉱物表面の相互作用に関する研究を行っている。特に、有機鉱物の前駆体となる有機酸(ギ酸・シュウ酸・酢酸などの低分子カルボン酸)と酸化鉄鉱物表面の反応速度について詳細な実験を行い、同じ鉱物でも有機酸の種類によって反応速度が違うことを見いだした。その後も引き続き、透過電子顕微鏡や動的光散乱法などの新しい研究手法を学びながら酸化鉱物の表面状態や粒経による影響を調べている。また、これまで行ってきた有機鉱物に関する一連の研究をまとめ、岩石鉱物科学誌に総説を発表した。この総説は、1852年から2010年までに印刷された、約300編の原著論文および教科書を参照しながら有機鉱物と無機鉱物の結晶構造と生成機構を比較し、有機鉱物の特徴を明らかにした重要な論文である。この際に行った文献調査から、今後は有機鉱物そのものの研究のみならず、生物起源の有機物が有機鉱物の前駆体となる動的過程を研究することが重要であると指摘した。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Langmuir 25
ページ: 12243-12249
American Mineralogist 38
ページ: 1325-1332
岩石鉱物科学 38
ページ: 57-74