プラズマ・バブルの発生機構および、生成から発達・消滅までの時間・空間変化の解明を目的とし、(1)プラズマ・バブルの東西空間分布とその特性長の解明および(2)プラズマ・バブルの到達高度に関する研究を行った。 (1)では、地上GPS受信機データを用いて明らかにしたプラズマ・バブルの東西方向の特性長について解析・考察を行った。解析の結果、400kmという特性長が明らかになった。このことから、プラズマ・バブルの出現が大気重力波の寄与とプラズマ速度のシアの影響を受けていたという考察を行った。これらの成果を投稿論文にまとめ、Journal of Geophysical Researchに投稿した。 (2)では、緯度方向に展開された地上GPS受信機データを用い、プラズマ・バブルの出現頻度の緯度(高度)依存性を調べた。また、プラズマ・バブルの到達高度を決定付けるパラメータとして考えられる赤道異常の電子密度極大高度(緯度)に注目し、その緯度(高度)とプラズマ・バブルの出現した緯度(高度)との比較を行った。赤道異常の電子密度分布に関しては、低軌道衛星TIMED搭載のGUVIによる夜間大気光撮像データを用いた。解析の結果、赤道異常の電子密度極大位置が観測点よりも高緯度(高度)にある場合のプラズマ・バブルの出現頻度は、その逆の場合の出現頻度の5倍以上であることがわかった。この結果は、赤道異常の電子密度極大緯度(高度)が高い場合、赤道域での電離圏東向き電場が強く、レイリー・テイラー不安定性が起こりやすかったこと、および、電子密度極大緯度が高緯度(高度)にあることで、高緯度(高度)までレイリー・テイラー不安定性が成長しやすかったことを示唆している。これらの成果を学会において発表した。
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